ファンにとって来日公演は、海外のバンドを最も近くに感じる体験だ。バンドを語る上で重要な記録であり、多くの日本のファンの心に強く刻まれる記憶でもある。それを最も近くで、同じ目線で体験した日本人がいた。2000年の来日公演でオープニング・アクトを務めたNORTHERN BRIGHTである。オアシスのデビューから2000年当時の空気感、同じバンドマンならではの視線。今回はメンバー三人全員にリモートで集まってもらい、20年前の記憶を辿ってもらった。
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《NORTHERN BRIGHT》
1997年結成のロックバンド。1998年、Sony Recordsよりメジャーデビュー。2000年オアシス日本公演のオープニングアクトを務め、2001年にはFuji Rock Festivalにも出演。UKロックを昇華したサウンドとファッションで魅了し、数々のテレビ番組にも出演する。
新井仁(Vo.Gt.)
島田正史(Ba.)
原"GEN"秀樹(Dr.)
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■ オープニング・アクト決定までの経緯
司会)「今回はお集まり頂きありがとうございます!
まずはGENさん、オープニング・アクトに決まった経緯を教えて下さい!」
原)「なんでいきなり俺なのかなぁ(笑)
その頃(※2000年前後)ソニー・ミュージックと契約した流れもあったのかなぁと。」
島田)「全然違うよ(笑)」
ALL)(爆笑)
島田)「SMASHとのつながりがあったからなのかな。」
新井)「でも、オアシスもソニー・ミュージックだったし、northern brightもそうだったから、その可能性も多少はあるのかな?」
島田)「新井くん、我々の音源を本人達に聴いてもらって決まった、だっけ?」
新井)「当時、SMASHが面倒を見ているアーティストの音源を、オアシス側にいくつか送ったみたいだよ。
オアシス側がジャパンツアー(2000年Standing Shoulder Of Giants Japan Tour)にオープニング・アクトをつけたいって言っていたからね。
それで、僕らが選ばれたと。
ソニー繋がりってところもあるかもしれないし、SMASHが推してくれたかもしれないし、単純に聴いてくれて選んでくれたのかもしれないね。
もしかしたらサウンドがそっくりだったから、本人たちが選んでくれたんじゃないかな?(笑)」
司会)「当時のバンドはどんな状況でしたか?」
新井)「忙しかったよね。」
島田)「デビューアルバムを出す前だったしね。ドラマの主題歌が決まった時は、特に忙しかった覚えがあるよ。」
■ オープニング・アクト決定時の心境~出演時
司会)「オープニング・アクトに決まった時は、どんな心境でしたか?」
新井)「まず信じられなかったよね。
SMASHにNORTHERN BRIGHT、サニーデイ・サービスもお世話になっていたから、そのライブを観に行くつもりで、アリーナの良い席を抑えてもらっていたんだよ(笑)」
島田)「出演が決まったのは、割と急な話だったよね?」
新井)「本当突然決まったね。出演することになったから、そのアリーナのチケットは、お母さんとお姉ちゃんに譲ったよ(笑)」
島田)「そういえば、オープニング・アクトの次の日にデビューアルバム「NORTHERN SONGS」がリリースされたんだっけ。」
新井)「うん、そうだったはずだよ。」
司会)「オープニング・アクトでの出演は、横浜アリーナの初日と最終日でしたっけ?」
新井)「そうそう。
大阪も実は出演を打診されたんだけど、スケジュールが入っちゃってたんだよね。」
島田)「アルバム発売と重なっちゃってたからね。プロモーション活動が入っていたはず。」
司会)「GENさんとしては、オープニング・アクトが決まった時の心境はどうでしたか?」
原)「あまりに大御所すぎてビビりましたよ(笑)」
新井)「出ていいのか…ってね。」
司会)「「やってやろう!」という気持ちもあったのかなと思ったのですが、いかがですか?」
島田)「半分くらい「やってやろう!」って気持ちだったね。」
新井)「でも、怖かったよ…それまで、他のバンドのオープニング・アクトで日本人が出演していても、観客として会場にいたら観てなかったもん(苦笑)」
島田)「でも、当時の映像(オープニング・アクト時のライブ映像)を見返したり、思い出してみると、拍手がそれなりにあったし歓声も頂いていたので、思ったより感触はあったよね。」
新井)「まあでも、ビビるよね(笑)」
司会)「実際にメンバーとの絡みはあったんですか?」
原)「全くないね(笑)」
島田)「楽屋とトイレのドアの左右にセキュリティー達が見張ってたから、全く近づけなかったよね。
でも、我々のリハーサルを一部のオアシスメンバーが見に来てくれていて、終わった後にちょっと会ったって感じだったよね。」
新井)「SMASHのスタッフからは「とにかく刺激を与えるな!」って言われていたよ(笑)」
島田)「おとなしくしとけよ!」って感じで(笑)」
新井)「初日と最終日にオープニング・アクトをやらせてもらったんだけど、初日はとことん大人しくしてたんですよ。
自分たちの楽屋から、ちょっと周りを覗いて見たりとかはしたんだけど(笑)
メンバーが歩いてる姿を見たりしてたね(笑)
あと、不用意にトイレに行ってみたりとか。
トイレ前にいるセキュリティーに、「お前、よくトイレに来るよな。」って苦笑いされたりしたね。
だけど横浜アリーナの最終日は、もうこんなに近づける機会無いかなぁと思って、ライブが終わった後、駐車場の楽屋出口でみんなで出待ちしてたよね。」
島田)「そうそう、出待ちしたよね(笑)」
新井)「みんなで並んでレコード、ギターとか持って並んでたよ(笑)」
島田)「新井くんはサイン用にギター(Epiphone Noel Gallagher モデル)を買ってたもんね。」
新井)「ギターの表にノエルのサイン、裏にリアムのサインを書いてもらった。
ノエルのサインが貰えればよかったんだけど、タイミングよくリアムも出てきたから、裏にリアムも書いてもらったね。」
司会)「あんなにしっかりしたノエルのサインは、今は見られないですね。」
新井)「その数年後、道端でノエルに会ったときにもらったサインは、ミミズみたいなものだったからね(笑)」
司会)「当日オアシスのライブは観ましたか?」
島田)「もちろん!ステージの脇からみんなで観たね。」
新井)「刺激を与えるとライブが中止になるかもしれないし、ステージ脇でこっそり(苦笑)」
島田)「スタッフからは何度も、「刺激を与えるな!」って言われてたもん(笑)」
新井)「その時や、次の来日(2002年)でも福岡でリアムが途中でいなくなったりっていうのがあったもんね。」
司会)「GENさんは、その時既にAir Jam(Hi-Standard主催の野外フェス)に出演して、何万人もの前でライブを行なっていましたよね。
オアシスのオープニング・アクト出演時と比べて、その時の雰囲気とか、自分の緊張具合とか何か違いはありましたか?」
原)「ん〜どうだろうね。室内か野外かの違いかなぁ?」
ALL)(爆笑)
新井)「横浜アリーナのステージからは、客席が見えなかったよ。
客席がとにかく真っ暗なんだよね。
崖の淵でライブしてる感じ。
でも、拍手や歓声は聞こえるから、大きい会場でやってるんだなぁと実感はしたよ。」
島田)「会場がザワッとすると、お客さんがいるんだなぁと気付くという感じだったよね。
俺とGENちゃんはライブ中、緊張してなかったかな。
普通にやれたような気がする。」
司会)「それまでの最大のキャパはどれぐらいでしたか?」
新井)「クアトロくらいが最大の箱だったね。アルバムも出てなかったし。」
■ セットリストの選曲
司会)「その時の選曲はどう行いましたか?」
新井)「代表曲とシングルのカップリングかな。割と分かりやすい代表的な曲をコンパクトにやったよね。」
島田)「うんうん、どちらかというとロック系の選曲。静かなバラード系の曲は外したかな。」
司会)「オープニング・アクトとして、何分ぐらいの公演時間が与えられたんでしょうか?」
島田・新井)「5曲くらい。合計で25分程度。」
原)「よく覚えてるね〜(笑)」
島田)「撮影したビデオがあるから(笑)
確か最後の曲で、バラバジャカ(イギリスのシンガーソングライターであるドノヴァンの楽曲)のカバーをやったんだよ。
リハでもこれを演奏したんだけど、その時にアンディ・ベルがステージ脇まで観に来てくれたんだよね。
60年代の楽曲のカバーをやったことは、オアシス側にも響いたんじゃないかと思ってる。」
■ 新井さんが「Go Let It Out」の日本版CM出演した経緯
島田)「新井くんが、Go Let It OutのCMに出た経緯って何だっけ?」
新井)「あれはね、半分のせられた経緯があって…でもまあ、ソニーだからかな。
最初はソニー・ミュージック所属のアーティストの顔が、曲に合わせてコマ送りのように変わっていくようなCMを撮ります、って聞いてたんだよ。
奥田民生さんやPUFFYが出演すると絵コンテに書いてあったから、「もちろん僕は出ますよ!」といって快諾したんだけど、撮影現場に行ってみたらスタッフから「新井さん一人になったんでお願いします」って言われたんだよ。
その話をみんなが断っていたというオチ(笑)」
司会)「そのCMを見たことが無いのですが、どんな感じなんですか?」
島田)「僕が練習スタジオのマーシャルのアンプの前に座って歌っていて、途中でリアムが歌うMVに切り替わる、って感じかな。」
島田)「新井くんが弾き語りで生歌を歌ってたよね。それも凄いことですよ。」
■ 当時のUKファンと今のUKファン、ファッション・ルックスから見るオアシスの変化について
司会)「NORTHERN BRIGHTと同世代のリスナーの方からすると、当時のオアシスの評価はどうだったんでしょう?」
島田)「低迷期ではあったかもしれないけど、斜に構えて見てたわけではないかな。
だけど個人的には2005年以降のほうが好きだった。
その後リアムはブランドもやり始めたりして、格好良いなと。
昔のオアシスはルックス・ファッション的なところで、お洒落じゃなかったってイメージ。
それが、2005年以降はかっこよくなったし、演奏力も上がったよね。
そこから復活してきたんじゃないかな。
もちろん初期の荒削りさもカッコいいんだけどね。」
司会)「オリジナルのメンバーが脱退して、ゲムとアンディが加入しましたが、どう思いましたか?」
島田)「カッコいいやつを連れてきたなぁ、と思ったね。」
新井)「だけど少し顰蹙を買っていたかも。前のメンバーの方が個人的には好きだったかな。ダサいなーとは思ったけど(笑)アンディが入った時は、急激にスタイリッシュになったよね(笑)」
島田)「あんなにお洒落バンドだったか?ってなったよね(笑)」
新井)「根本のところはワーキングクラスだから、あの変化にはビックリしたかな。」
司会)「実際横浜アリーナで観て、どういう印象でしたか?」
島田)「見た目としては、その時は中途半端な感じ。2005年以降はモッズスタイルになったよね。そういうのを打ち出してきたんだろうなって、一目見て思った。」
新井)「音楽性も60年代っぽくなったよね。」
司会)「GENさんは、どういう印象でしたか?」
原)「印象?おー、動いてる〜!と思ったね。」
ALL)(爆笑)
司会)「2000年当時はYouTubeも無いし、動いてるありがたみがありましたよね。」
新井)「確かにそうだよね。」
■ オープニング・アクトをやった後の周りからの反応
司会)「オープニング・アクトを務めて、周りからの反応はどのようなものがありましたか?」
島田)「やれて嬉しかったけど、そこまで自慢をするようなことはなかったかな?
メンバーチェンジもあって、落ち目な印象だったからかな。」
新井)「メンバーに会えたんでしょ?サインもらえた?」とか聞かれたことは、結構あったね。」
司会)「バンドとして知名度は変わりましたか?」
島田)「後々あれで知名度が上がったなって気付くことはあったけど、当時はそんなに分からなかった。今になってオアシスを観に行っていた世代の方々と会う機会が増えて、ちょっと実感したかも。」
司会)「NORTHERN BRIGHTのファン層の変化はありましたか?」
新井)「あまり変わりはしなかったな。
ただあのライブがあったから、洋楽しか聴かない人たちも聴いてくれたような印象はあるよ。」
■ 現在のファンが集まるイベント、OASIS NIGHTに出てみて
※OASIS NIGHT:東名阪で行われているオアシスファンイベント
新井)「最高。オアシスの歴史が受け継がれていってる、良いイベントだと思うよ。」
司会)「元々来てくれていた人たちの中で、NORTHERN BRIGHTのことを話している人たちもいましたよ。」
新井)「オープニング・アクトをしたし、ネタがあるもんね(笑)」
■ 今後のNORTHERN BRIGHT
新井)「デビューアルバム「NORTHERN SONGS 」10周年のライブ予定が延期になって、「ライブ収録」することにしました。
本当はライブをしたいんだけどね。」
※詳細は下記参照
島田)「3人でNORTHERN BRIGHTだけど、高野くん(高野勲)とみつくん(見津優)が入ってのフルバンド編成は貴重だしね。」
新井)「中々できないしね。」
司会)「高野さんが入ってのライブは、当時もやってないですよね?」
島田)「2001年のフジロック(オアシスが出演した年のレッド・マーキー)で、1回やったかな。」
司会)「3月のライブが凄く良かったので楽しみです!
今回のお話を聞いて、オアシスが日本のバンドと直接的に繋がる存在、それがNORTHERN BRIGHTだと改めて実感しました。
あれから20年が経過しオアシスは解散してしまいましたが、魅力は伝わり続けています。
NORTHERN BRIGHTは今も本当に格好良いバンドですので、配信ライブや今後の活動が楽しみですね。
本日は貴重なお時間を頂き、本当にありがとうございました!」
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【今回のゲスト】
《NORTHERN BRIGHT》
1997年結成のロックバンド。1998年、Sony Recordsよりメジャーデビュー。2000年オアシス日本公演のオープニングアクトを務め、2001年にはFuji Rock Festivalにも出演。UKロックを昇華したサウンドとファッションで魅了し、数々のテレビ番組にも出演する。
新井仁(Vo.Gt.)
島田正史(Ba.)
原"GEN"秀樹(Dr.)
LIFESTYLE MUSIC RECORDS
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『配信ライブ情報』
NORTHERN BRIGHT
Album "NORTHERN SONGS"
20th Anniversary Live
9.25(金)20:00~
(10/1 23:59 まで視聴可能)
チケット ¥2000
↓購入ページ
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《OASIS NIGHT について》
Official Blog:https://ameblo.jp/oasisnight
-Twitter-
名古屋アカウント:https://twitter.com/oasisnight_ngy
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