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ブートレグ談話 Be Here Now期 -Vol.1-


司会「では今回はBe Here Now(以下BHN)ツアーの音源について、語っていきましょう!

BHNツアーには、チケットが恐ろしいほど高騰したという武道館公演他、素晴らしい公演が多くありますね。

小沢(以下、KO)「いやー、遂にここまで来ましたね。

オアシスのライブバンドとしての、一つの到達点となったツアーと思っていますよ。

僕はこのツアーだと、地元マンチェスターでのG-MEX公演が大好きですね。」

須賀(以下、S)「僕もG-MEX公演が大好きですね。

僕や小沢さん世代だと、中々この日のブートレグが手に入らず、聴くまでに苦労しましたよね。」

KO「そうそう!全然良いタイトルが手に入らなかったですよね!

ではいつも通り、大石さん、この日の解説をお願いします(笑)」

大石(以下、O) 「いつも通りですね(笑)

ではG-MEX公演について、話していきましょうか。

1997年、オアシスは3rdアルバム「Be Here Now」を引っ提げ、ツアー序盤から過去最大の舞台セットを組んだ、大規模アリーナ公演を欧米で開始します。

有名なのは97年9月末のアールズ・コート3日間連続公演に加えて、97年12月13日と14日に行われた、マンチェスターのG-MEX公演ですね。

初日の音源や映像は、2020年現在も流出等していなくて、ライブ当日に撮影された数枚の写真のみ存在してるだけなんですよね。

2日目は当時MTVでライブ全編がTV放送されて、後年にも短縮版等で幾度となく再放送される等、BHNツアーを代表する公演の一つとなっています。

本公演はブートレグとしても、オアシスを代表するタイトルとして残っていて、「WE HERE NOW (THEY ARE GREAT)」「LIVE AT G-MEX, MANCHESTER DECEMBER 1997」をはじめ、名作と言われているflashbulbの「LISTEN TO THIS THOM」(タイトルはレッド・ツェッペリンの有名なブート「LISTEN TO THIS EDDIE」のパロディ)や、ブラッシュアップ盤の「BAGLIM」、そしてDVDもプレス盤で複数発売されている等、今でも重宝している、オアシス史上に残る名演&名音源です。」


KO「本当、バンド史上でも1,2を争う名演ですよね。」

O「この日の見所は、もはや全編!(笑)

畳みかけるように披露される名曲群の数々。

10分近い演奏に及ぶ「All Around The World」や「Champagne Supernova」等、大曲も惜しみなく披露し、最後は兄弟で歌い合う「Acquiesce」で締めるという、オアシスの勢いがネブワース以上にも達したと思えるライブとなっています。(この日の映像をメインに「Acquiesce」公式PVが作られたが、映像はG-MEX公演ながら、音源は97年10月のニューヨーク公演という、少々複雑なPV)

BHNツアーの凄さはG-MEXに留まらず、ブート化されていないウェンブリー・アリーナ公演や、声が出なくなったリアムに代わりノエルが全編ボーカルをとったダブリン公演(後述)等、名演を連発しているのも特徴の一つですね。」


KO「さっきも話が出ましたけど、僕と須賀君がブートを集めた始めた当時は良質なサウンドボード音源は軒並み廃盤でした。

G-MEX公演は決定盤の「BAGLIM」が出るまで中古市場を彷徨いましたし、オランダ公演を収めた「Destroyer」も2007年に10周年記念盤が出るまでは憧れの存在でしたね。

ダブリンも、幻のブート「Noel Gets To The Point」がコンプリート再発されるまで、音の悪いCD-Rブートで我慢するしかなかったのです。」

S「クオリティが高いブートレグが多い時期ですよね。

G-MEX公演については、小沢さんの言う通り「BAGLIM」が出るまで、中々ブートレグが手に入らなかったですからね。

「LISTEN TO THIS THOM」を市場で見掛けても、いつも1万円越えは当たり前だったので、学生には手が出しづらかった(笑)

「We Here Now」は少し欠陥もあるので、完璧と言えるものが手に入るまで時間がかかりました。」

KO「だからこそ聴けたときは嬉しかったなー。

本当に素晴らしい公演ですし、満足感が凄かったです。

「All Around The World」のブレイクからノエルがソロを弾き出すところとかたまらないですよね。

リアムの声も凄く良く出ていますしね。

映画「スーパーソニック」でデビュー前にリハしていた頃を思うと、バンドと曲の成長に感動を覚えます。」


S「G-MEX公演を初めて観た時に思ったのは、この時期のオアシスってこんなにセットにこだわるんだ、ということですね。

BHNツアー以外で、大型セットを組んでライブを行うって無かったじゃないですか。

必要最低限のセットでライブを行うのがオアシスというイメージがあったので、BHN期のライブセットは珍しいですよね。

『ドアが開けられてメンバーが登場するなんて恥ずかしくて出来ない』みたいなことを言いそうなバンドだったので(笑)」

O「BHNツアーは、他のツアーでは見られないようなことばかりで、本当に楽しめるツアーですね。

だからこそ、G-MEX初日が未だ音源も映像も何一つ出たことがないので、いつか拝見したいライブの一つです。

長年音源流出の気配もないし、あんな大型公演にしては珍しいですね。」

S「あとこの時期にしか聴けないリアムボーカルの「Don't Go Away」や「Stay Young」、全編エレキギターで構成される「Wonderwall」も聴きどころではないかなと思います。

この頃のリアムって初期の美しい声と、中期〜後期のしゃがれ声がいい感じでミックスされた期になるので、大好きなんですよね。」

KO「リアムの声、分かります。

これぞライブ音源で、それぞれの時期を聴く醍醐味ですし、ブートレグを集めるきっかけになりますよね。」

S「そういえばG-MEX公演には、先日カサビアンを脱退したトム・ミーガンも観に来ていたようですね。

オアシスフォロワーバンドであったTravisも前座で起用され、「All I Wanna Do Is Rock」では、ノエルがゲストで出たりと、90年代後半〜00年代を支えたバンドたちが会場内で交差している感じも面白いですね。」

KO「須賀くん、良いこと言いますね。

サージと一緒に見ていたんでしたっけ?

BHNを発売日に買ったピート・ドハーティがインタビューされていたのと同様に、バンドの影響力の大きさを感じます。」

Sサージと一緒だったかはハッキリと覚えていません...。

もう一回当時のQ誌を読み返さなくては(笑)

ただG-MEX公演が初めて行ったライブで、ラルフ・ローレンを着て行ったと言っていたのは覚えています(笑)

そういえばBHNが発売した日に、ピートがインタビューに答えている映像がありましたね!

「ギャラガー兄弟を一言で表すと?」という問いに、「ズボン」と返すその能力、凄いです(笑)」


司会「ピートの動画は面白いですよね!

BHN公演は良い公演が多いんですね。

G-MEX公演以外は、どんな公演があるんですか?」

KO「来日時の武道館公演はやはり欠かせないですよね。

大石さん、どうぞ(笑)」

O「(笑)

では次は武道館ですね。

1998年2月、オアシスはBHNを引っ提げ、日本武道館で3日間連続という歴史的来日公演を敢行しました。

当時チケット争奪戦は熾烈なものとなり、ライブ当日に「チケット下さい」のカンペを掲げた人々が、九段下駅から武道館まで大勢が列をなしていた、という伝説も残っているほどです。

MG期ではライブハウス公演のみだったオアシスが、ついに武道館の大舞台に立つ!という歴史的瞬間でもありました。」


S「僕の知り合いがこの日に行ったようなんですが、ダフ屋からチケットを購入して、その価格8万円だったようですよ...

いやー凄いですね。」

O「やはりそういう価格ですよね...。

それではまず初日から行きましょう。

CD-Rのブートレグ「Here we are!」のみが発売されたものの、音像が遠目で籠りがちな音源。

ただ初日を完全収録したブートレグはこれだけなので、初日を聴ける唯一の音源として重宝している作品です。

映像としては1分程度の紹介映像が、当時MTVの音楽番組で流れたのみとなっています。

次に2日目は名盤と呼ばれるブート「d'you feel daydream?」と、2005年にブラッシュアップ盤「d'you feel daydream? -revisited-」が発売され、3日間の武道館公演でも最長(演奏曲数も最も多い)公演となっています。

音源自体も武道館公演としては非常にクリアな音質、リアムの声もバンドの演奏も絶好調、かつ観客の歓声等も程良く拾っており、マニアの間では「武道館公演は2日目がベスト」と言われているのも分かる出来です。

また1階席西スタンドから撮影された、オーディエンス・ショットの映像も存在し、VHS時代から貴重な映像となっています。


余談ですが「Acquiesce」の公式PVの終盤、リアムが両手を広げて屈伸する姿は、この武道館公演2日目の映像となっています。

そして最終日の3日目。

当時WOWOWでライブが全編フル放送されたものを元とした、複数のブートレグが公演直後から生まれ「Three Nights In A Judo Arena」「THE BOYS ARE BACK IN TOWN」、オーディエンス録音としてCD-Rの「NIGHT WITH HEARTBREAKER」、2015年にはプロショット映像で欠落した部分をオーディエンス音源で補完した「THE LAST NIGHT IN A JUDO ARENA 1998」が発売される等、このWOWOW放送が今でも重宝されているライブとなっています。

特に3日目に披露した「Champagne Supernova」はオアシス史上最長の演奏となっており、まさにハイライトとなっている瞬間です。

オアシスで唯一、そして武道館連続公演の最後を飾った、全てが完璧のライブ・・・とはいかず、さすがに3日連続公演が影響してか、リアムの声も少々疲れ気味、また3日間で最も短いセットリストとなっているのが残念ですが、BHNツアー後半を代表する音源・映像として、今でも"名演”と見なされているのも事実です。

音源にはVHS録画の影響なのか、若干のノイズ等もありますが、この歴史的ライブを拝めるということには、何の問題にもならないかと。」


KO「《Acquiesce》のPVで2日目の映像が使用されているということは、公式映像が存在しているのですかね...?」

O「もしかしたらその可能性がありますよね。」

KO「この企画が始まってから何度も何度も言っていますが、発掘音源・映像等を期待しています(笑)

今オアシスのブートレグリリースが相次いでいるので、どこかのメーカーさん、お願いいたします(笑)」

O「本当リリースが多いので、発掘音源等期待ですね。」

KO「伝説の武道館は、BHNツアーだけのアレンジとなっているSupersonicのイントロのリフが完成形になってますよね。

そして何より最終日のChampagne Supernovaは凄いです。

巷のオアシスのイメージを覆すようなジャムを繰り広げていて、こんなにノエルがギターを弾きまくっているのは貴重ですし今思うとこれが最後だったと断言できます。」

S「確かに武道館後のオアシス~ソロキャリア含めて、ここまで自由にギターを弾いているノエルって、見られないですよね。

小沢さんのあげている「Supersonic」のリフ。

この時期にしか披露してないので、聴きどころの1つですよね。

「Champagne Supernova」と「All Around The World」のジャムを繰り広げるのはメチャクチャ格好良いです。

ただ2曲で20分超という長さなので、しっかり時間を作って聴かないといけませんね(笑)」

KO「武道館は、ビートルズの武道館に並んで過去にタイムスリップして見たいライヴですね。

それぐらいの伝説がそこにはあると思っています。

現時点での最新タイトルの「THE LAST NIGHT IN A JUDO ARENA 1998」は音質が過去タイトルより明らかにクリアになっていますのでオススメです。」

S「THE LAST NIGHT IN A JUDO ARENA 1998」は容易に今でも手に入りますし、クオリティも高いですし、オススメですよね。

あと「d'you feel daydream?」は何度も聴きましたね。

リアムの声がなんと言っても抜群。

来日公演でもベストと言っても過言ではないと思います。

3日目も良いんですが、大石さんが先ほど言っていた通り、やはり疲れが出てしまっていて、声が…

ライブ序盤からかすれ気味の声なので、しっかりリアムの声を聞きたいと思う人には難点ですかね。

この日は何と言ってもノエルの日かなという印象です。

「Cigarettes&Alcohol」では、「Whole Lotta Love」と「Heartbreaker」の合わせ技や、ケミカル・ブラザーズとノエルのコラボ曲「Setting Sun」と、ビートルズの「Help!」のカバーを披露。

自分は「Help!」のカバーを聴きたくて、「THE BOYS ARE BACK IN TOWN」を高校生の時に購入しました(笑)」

KO「「d'you feel daydream?」は録音も素晴らしいですよね。

武道館でオアシスがライヴをしているのがリアルに感じられます。

須賀くんの言う通りリアムも絶好調で、聞き応えがありますね。


司会「数多くある来日公演の中でも、武道館は特別ですよね。

憧れのビートルズと同じ場所でライブを行ったというのも、感慨深いですよね。

今回も2公演で、かなり時間を使いましたので、続きは後半にしたいと思います。

引き続きよろしくお願いします!」


ALL「よろしくお願いします!」

----------------【今回のゲスト】-----------------


【大石】

幼少期からの映画バカで、その影響で英語を覚え、気付けば海外ドラマや映画の字幕翻訳家/映画関連の通訳及びインタビュー等も。小学6年生の頃にオアシスと出会い、中学生でブートレグと出会ってからは、特にライブ音源について徹底的に研究し続ける日々。


【小沢】

音楽好きの会社員。UKやモッズを偏愛するあまり、“Face The Crowd”,IN CROWD,◎Into Tomorrow◎,oasis mania tokyoなど数々のイベントを主宰。


【須賀】

オアシスのファンイベント"OASIS NIGHT NAGOYA"の主催者。

高校生の頃に名古屋でオアシスのライブを観て、感涙。

それからというもの、ブートレグの収集に熱を上げ、海外までギャラガー兄弟を追いかけている。

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