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ブートレグ談話 Standing On The Shoulder Of Giants期 -Vol.2-

司会「それではここからはStanding On The Shoulder Of Giants(以下、SOTSOG)ツアーの後半戦へ行きましょう!

それではいつも通り大石さん、概要を!」


大石(以下、O)「了解致しました!

2001年に入り、オアシスはSOTSOG期ツアーの後半へと突き進んでいきます。

まずは南米での大型フェス連続出演。

ブートレグにもなったブラジルのロック・イン・リオ、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われたホット・フェスティバル、ベネズエラでのカラカス・ポップ(現在も未ブート化)等に、まとめて1月に出演。

特にロック・イン・リオはプレス盤で「ROCK IN RIO III」「OASIS OF LUST」、後年には「STANDING STILL (Sound + Vision)」として、ホット・フェスティバルも公演直後に「BUENOS AIRES HOT FESTIVAL 2001」がブートレグとして出るなど、前年8月の解散ネタ及び撤回は何だったの?というくらいに順調な公演を重ねていきます。

この両公演はライブの生中継もあり、なかなか良質な映像や音源が残っています。ただし南米の映像及び音源は、21世紀に入っても放送品質があまり高くなかったため、日本やアメリカの品質と比べると、少々落ちる出来ではありますが。」

須賀(以下、S)「SOTSOGツアーに入ってから多用してるのですが、この期のブートは安いんですよ(笑)

「ROCK IN RIO III」なんて800円くらいでいつも売られていたイメージです。

SOTSOG前半戦の安いもの含め、よく聴いてましたね。

残念ながら大石さんが言うように臨場感がイマイチなのですが、手軽に聴けるのではないですかね。」


O「うん、そこはちょっと残念な点ですよね。

もう少しクオリティが高かったら文句がないのですが。

やはり南米というとオアシス熱が高い地域でもあって、もう少し臨場感に溢れていたらマストなブートになっていたでしょう。

そして2001年5月からは、別の兄弟バンド/ブラック・クロウズと組んで「The Tour of Brotherly Love」(兄弟愛ツアー)と題した、2大兄弟バンドが同じステージで交互に出演する北米のみのツアーを敢行。全19公演(当初は21公演の予定だった)を行いましたが、ブートレグとしてリアルタイムで発売されたのは、デンバー公演を収めたプレス盤「Brotherly Love:Just Before 10th Anniversary」くらいで、あとはBe Here Nowツアーを代表する名盤「DESTROYER」10周年記念盤の初回限定ボーナスディスクとして、デトロイト公演がCD-Rとして出た程度で、出演時間の短さ(各公演80分未満)もあり、非常に地味な扱い。興味深いのはライブ冒頭が「Fuckin in the Bushes」で始まらない、ということでしょうか。

ただボストン公演のプロショットの映像や、他公演のオーディエンスショット映像も複数存在。そして演奏した楽曲もキャリアを総括するようなセットリストで、短めながら楽しめるツアーとなっております。」

小沢(以下、KO)「兄弟愛ツアーの一番の聴きどころは、病気のアランに代わって兄のスティーヴ・ホワイトがドラムスを担っているところだと、個人的に思っています。

ここもまさに兄弟愛(笑)

スタイル・カウンシルの時代からポール・ウェラーを支えた軽快なドラミングを、オアシスで聴けるとはびっくりです。

「Brotherly Love:Just Before 10th Anniversary」は手に入りやすく、臨場感は皆無なもののサウンドボードなのでよく聴きました。」


S「そうそう、それは聴きどころですね。

あとなんて言ったって安い(笑)

さっきからこれしか言ってないですね(笑)

この期は臨場感が…という点はやはりマイナスポイントですね。

オアシスの面白さって演奏も去ることながら、観客の熱量も含めてなんですよね。」


O「迫力ある音源なら良かった内容のものばかりですね。

そういえば2020年末になって、このツアーの新たなリリースがありましたね。

あとで触れようと思う「Fuji Rock 2001 DAT MASTER」の初回限定ボーナスディスクとして付属された、インディアナポリス公演の音源。

CD-Rながら「2001年頃に発売されていたら、確実にプレス盤だったろうなぁ~」というくらいの高音質!

ボーナスとしては勿体ないくらいのクオリティで、非常に満足のいく一品に仕上がっております。」


KO「高音質、しかもこれがボーナスという!

単体でプレス盤発売してくれても良かったのにと(笑)」


S「これ僕も入手しました。

オーディエンス録音といえど、物凄く聴きやすい音源でしたね!

そしてこの後は来日ですね。

イギリス人も羨んだといわれるラインナップのフジロック!」


O「はい、そうです!

2001年7月、兄弟愛ツアーを終えたオアシスは、6月後半にパリ公演を行い、その後SOTSOG期最後の公演(バンコク公演)を前に日本へ立ち寄り、初のフジロック出演を果たします。

大いに話題になったオアシス初のフジロック出演は、当時まだネット環境が整っていない中、何が映ってるのか分からない(映像が小さすぎる&カクカク動く)レベルの配信生中継を行うなど、画期的な試みも行われたんですよ。

後にWOWOWなどで数曲が放送及びオーディエンスショットで完全版の映像も存在しますが、後者はあまり安定している代物ではなかったものの「オアシス初のフジロックを全編見られる!」というだけで、貴重なVHSでした。

この公演のブートレグは複数販売され「BROTHERLY LOVE IN FUJI」等、軒並みCD-Rしか販売されず、そのクオリティも正直「聴ければいいか…」というレベルの代物でした。

ネットでも複数の音源が流通していましたが「これだ!」という音源は、長い間登場していませんでした。


しかし、まさかの急展開が2020年に起こりましたね!

公演から19年が経った2020年末に、伝説のブートレグ業者/キニーの関係者が、会場でDAT録音していたマスターが登場し、2枚組プレス盤ブートレグ「Fuji Rock 2001 DAT MASTER」として陽の目を見ることに。

これが過去のブートレグを吹き飛ばす、フジロック01のオアシス音源としては、確実に過去最高のクオリティ。

冒頭で「早く出て来いよ~」「演出が云々」という観客の声を拾ってる臨場感もありつつ、前半は音像が微妙に遠目ながら、ガチのオアシス勢に囲まれていない、恐らく会場後方で録音されたと思わせる録音。

だんだんとスピーカーのある位置に移動しているのか、後半になるにつれ音量も大きく安定、また迫力も増していき、合唱もいい感じで拾っています。

日本のファンはおとなしいと言われていますが、当時から「Acquiesce」「Don't Look Back In Anger」を合唱しているのが分かるのも嬉しい驚きです。」

KO「2020年のブートリリースラッシュ、フジロックは本当に嬉しかったですね。

安定した音質で、プレス盤を手元に置ける喜びがあります。」


司会「この時はアランがドラムを叩いていたんですか?」


KO「アランは復帰していましたね。

ここで驚いたのはアランが凄く元気に、テンポも速く演奏してるんですよね。

リアムの調子も良くバンドも楽しそうで、オアシス初のフジロックは名演だったんだなと思いました。

そんなわけで、ホワイティ兄弟のドラムに注目するのが兄弟愛ツアーの裏の楽しみ方になります(笑)」


S「僕も初のフジロックが大好きですね。

09年のフジロックが映画館で公開されたりとフォーカスされがちですが、09年とはバンドの勢いが違って、迫力あるオアシスを体感出来るのは01年公演なんですよね。」


KO「そうそう、迫力があることが今回のリリースでより鮮明になりましたね。

特にアランのドラミングが素晴らしい!(笑)」


S「オアシスの歴史の中で、ドラムを務めた期間が1番長いのがアランじゃないですか。

1番聴いているというのもあるのですが、オアシスに1番向いているのがアランなんだと、この期のブートを聴くと良く分かりますね。」


O「あと個人的に興味深かったのは「Slide Away」(一度演奏を止め、やり直すのも貴重)の演奏直後に聞こえる、別ステージからの太鼓か何かの音を拾ってること。

明らかにステージからは離れているものの、スピーカーの音をしっかり録音する位置を確保しているのが分かる仕上がりです。

セットリストも兄弟愛ツアー同様、キャリアを総括する内容かつ、90分のフル演奏となっているため、日本ではこの一度しか演奏されなかった「Step Out」等、前年のジャパンツアーを超える秀逸な公演となっています。」


KO「「Step Out」いいですよね。

まさにオアシス…いや、ノエルの勢いを1番感じられるのはこの曲ですよね。

1度くらいライブで聴いてみたいですね。」


司会「フジロック01年の公式リリース、無いですかねー!

そして最後はオアシスの記念公演となりますね!

チケット難民が多数出たとか出ないとか言われていますよね!」


O「その勢いを保ったまま、2001年10月、オアシスは結成10周年を記念した「10 Years of Noise & Confusion」ツアーを行います。

イギリスとスコットランドのみで全6公演を行ったものです。

今でも「オアシス史上最高のツアーは、この結成10周年ツアーだ」と言うファンも多いほど、演奏の勢いも観客の盛り上がりも凄まじい名演の連発となっており、TV放送されたグラスゴー/Barrowland Ballroom公演は、まさに最高の名演の一つ。

特に「Whatever」をエレキ一本でノエル大将が弾き語る5分間は、目と耳に至福のひと時を与えてくれます。

観客に「Octopus's Garden」を歌わせて終わらせる瞬間など、まさに鳥肌モノ。

このツアーのブートレグは当時から複数出ており、TV放送音源が元の高音質サウンドボード(ただし新曲だった「The Hindu Times」「Hung In A Bad Place」、そして「Live Forever」は放送段階でカット)が元になっているものと、オーディエンス録音の完全版が存在しています。

後年にCD-Rで発売された公演3日目と4日目を収録した「"The Conditions of the Working Class in England" in 2001」、グラスゴー公演をサウンドボードで収録したCD-R盤「10 YEARS OF NOISE AND CONFUSION」(プレス盤も後にリリース)と、ダイジェスト収録ながら音質がベストとされるプレス盤「THE BUILDER OF THEIR DESTINY」、同じグラスゴー公演2日間をオーディエンス録音で収録した「YELLOW MATTER CUSTARD」「BRING FORTH FLOWERS」等、ネット流通音源も含めて全公演を気軽に聴ける代物です。

KO「見どころ聴きどころ満載の10周年。

「10 YEARS OF NOISE AND CONFUSION 」なんて、ツアーの名前からして最高ですよね。

グラスゴーの映像は本当に何度も観ている映像ですね。

小規模の会場の雰囲気がとても良くて、何だか幸せな映画を観ているような気分になります。

ここでの「Columbia」は後年シングル「Songbird」に収録されましたし、ノエルの「Half The World Away」「Whatever」はベストテイクと言っても良いぐらい最高です。

そして絶対素晴らしいに決まっている地元マンチェスターの音源は聴いたことがないんですけど、これも新たなリリースが欲しいところですね(笑)」


S「あとこの日はゲストで元The Smithsのジョニー・マーが「Champagne Supernova」の時に参加していますよね。

本当に聴きどころ、見どころ満載の公演なんですけど、「10 YEARS OF NOISE AND CONFUSION」のプレス盤が入手しづらかったんですよね。

市場にも滅多に出回らず、出たとしても値段が高く入手が難しかった覚えがあります。」


O「つい先日まで、そういう状態が続いていましたよね。

しかし2020年末に突然新たな刺客が現れましたね!

Bayswaterレーベルが2020年下半期に、突如訪れたオアシスの新作ブートリリースラッシュの中「10 YEARS OF NOISE AND CONFUSION 2001」を発売。

こちらはグラスゴー公演のサウンドボードを元に、欠けていた数曲をオーディエンス録音で補填し、公演の完全版音源を実現。

こちらが最新かつ現段階では決定版といえるブートになるでしょう。

このツアーで面白い点は、通常なら「I Am The Walrus」で終わるところを、まるで観客へのご褒美と言わんばかりに「Roll With It」でライブを締めること。

後にも先にもこの曲で公演を終わらせるのは本ツアーのみ、かつ全曲大合唱の嵐のようなミニツアーなので、コアなマニアでもオアシス初心者でも、誰にでもオススメ出来る名演です。」


S「これは本当に素晴らしいリリースですよね!

これからブートを集める、聴く若者は恵まれているな、とも思えるリリースです。

高値を追いかける日は何だったんだろうか、と後悔するようなリリースでもありますが(笑)」


司会「最近はブートのリリースが相次いで行われて、色々な音源を入手しやすくなりましたよね!」


KO「もう終わりそうな雰囲気ですが、最後に1ついいですか?」


司会「あれ、他に特筆する公演はありましたっけ?」


KO「いや、ライブ音源ではないですけど、SOTSOGのデモは最重要音源だと思っているんですよね。

ソロになってノエルがライヴで「Go Let It Out!」をやってくれたのは、このデモのファンにとって歓喜の出来事でしたよ。」


O「確かにSOTSOGは2000年当時、「完成前のアルバム音源が流出した」のも、なかなかの事件でしたね。

リリース前にネットに流出した音源が元ですが、当時未発表曲だった「Solve My Mystery」(ノエルのソロアルバムで「Revolution Song」として十数年を経て発表)や後年「Let There Be Love」として発売された別バージョン「It's A Crime」等、名曲も多かったですよね。」

S「「Solve My Mystery」はビックリしましたね!

ノエルの「Chasing Yesterday」がリリースされる直前に試聴会が開催されたじゃないですか。

それに参加したんですよ。

その時全く前情報なく参加して、ボーナスディスクの試聴に移った時、本当に驚きました。

あれ?画面に「Revolution Song」と出てるのに、これ「Solve My Mystery」だ!って思いましたよ(笑)」


O「僕も行っていたのですが、同じくでした(笑)

とにかくノエルが曲を書きためていたことが如実に分かり、後年「Lock All The Doors」等も含め、オアシス初期に書かれた曲も、一部に変更を加えて新曲として出した時は「どんだけ隠してる曲があるの!?」と驚きましたよね。

Flashbulbが「RARITIES OF GIANTS」、他レーベルで「STANDING ON THE SHOULDER OF DEMOS」として発売される等、見所も多く今でも聴きごたえがあります。

「Go Let It Out!」の別バージョンでは、映画『オースティン・パワーズ』のセリフをサンプリングしてる等、かなりお遊び要素もありますね。」

KO「このデモ音源は個人的にこの期のマストだと思いますね。

最後に失礼しました!」


司会「それではSOTSOG期はこの辺りでお開きとなります!

皆さま、今回もありがとうございました!」

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