司会「では前回に引き続きBHN期ですね!あとはこの時期というとオランダ公演でしょうか?」
KO「ブートレグのタイトルでいうと「Destroyer」ですね。
昔は入手困難だった「Destroyer」ですが、元の音源となっている「around the world in two hours」を、何も知らずにディスクユニオンで買って聴いたところ、音の良さに感動した記憶があります。
ここに収録されたオランダ・デンボッシュ公演ですが、音質の素晴らしさもあってBHNツアーのバンドの迫力を堪能できる音源ではないでしょうか。
リアムの声は本調子とは行かないものの、それが逆にロックでかっこいい。「Some Might Say」のサビをノエルが代わりに歌い始めるのも良いです。予期せぬ兄弟リレーが聴ける、ブートレグの醍醐味ですね。」
O「「Destroyer」のオランダ・デンボッシュ公演も、FMラジオ放送されたBHN期の貴重なライブ音源の一つです。
唯一の欠点は、連日の大型ライブでリアムの声が疲れ気味なところですかね。
ただ前述の「Some Might Say」をノエルがリレーで歌う場面、また「Champagne Supernova」のタイトルコールを兄弟一緒に言った後の、兄弟の変声合戦を聞く限り、この頃の仲は決して悪くなかったことが伺えます。
このデンボッシュ公演の5日前、ベルリンで行われたライブのオーディエンスショットが存在しているのですが、こちらの公演のテンションも高く、演奏も含め絶好調なので、もしベルリン公演も完璧なサウンドボードが存在していたら「Destroyer」に匹敵するBHN大型公演の記録になっていたと思われます。」
KO「しかしこの時期のflashbulbは「Listen To This Thom」といい、「Destroyer」といい、何故レッド・ツェッペリンの有名なブートレグタイトルを引用しているのでしょうか(笑)」
O「本当、なんでですかね(笑)」
S「「Destroyer」は名盤ですね。
学生時代はめちゃくちゃ聴いてましたし、今でも聴いてしまいます。
期間限定で披露されていた「Magic Pie」を、良い音質で聴けるのもこの盤の特徴ですよね。」
O「そういえば「Destroyer」ボーナストラックの、97年アールズ・コート公演の音源…なのに実際は97年10月のニューヨーク公演を編集したものになっている件、未だに謎です(笑)
そもそもこのボーナス・トラックの元になっているのは、当時欧米のMTVで数曲TV放送された映像の音源なのですが、映像アールズ・コート3日目なのに、音声がニューヨーク公演にしているのか、長年明らかにされていません。
これはオフィシャルPV「Acquiesce」も同様で、映像のメインはG-MEXなのに、音声がニューヨーク公演という前述した内容になっています。
97年当時のオアシス運営側には、何か特別な事情があったのでしょう…。」
KO「あのアールズコートのMTV映像、音はニューヨークだったんですね。
これまた知りませんでした。」
S「本当謎ですね(笑)
あと購入した当時、結構な値段で再プレス盤を買い、その後10周年記念盤が出たせいで、再プレス盤の値が一気に下がったことに悔しさを覚えた盤でしたね(笑)」
O「一点注意書きを。
「Destroyer」ですが、1stプレスは2000年発売で「10周年記念盤」は2007年発売だったのですが、これはあくまで「公演から10周年記念」という形だったので、ブートレグ自体の発売10周年では無かった、というのが当時内輪でギャグになってました(笑)」
司会「そんなことがあったんですね(笑)」
S「あと好きなのはダブリン公演ですね。
特に3日間公演の最終日ですかね。」
O「97年12月のダブリン公演は、3日連続で行われた公演で、初日は難なく公演は行われたものの、2日目にリアムの声が出ない、とのことで残り2日間は初っ端からノエルが全曲ボーカルを務めるという、96年8月のシカゴ公演(Flashbulbのブートレグ「CHICAGO LIAM-LESS SHOW」に収録)に続く、ノエルファンにとっては珠玉の2公演です。
3日目はこの日限りの「The Girl In The Dirty Shirt」も含め、当時ラジオ放送されたことで大変重宝しているライブです。
このラジオ音源を収録し、98年頃に発売された「NOEL GETS TO THE POINT」というブートレグが、長年廃盤かつ高値で取引されていたものの、同じラジオ音源ながら音質の悪いバージョンを収録したCD-Rブート「DON'T GO AWAY, BROTHER!」数年後に流通。
そして2008年、ようやく「NOEL GETS...」が"Definitive Edition"として出た際は「ついにダブリン公演の完全版が聴ける!」と飛びついた思い出があります。
かなり手ブレのひどい代物ですが、オーディエンス・ショットの映像も一部流出しています。
S「オーディエンスもリアムがいないにも関わらず、大合唱という凄さ(笑)
日本だったら、ブーイングが飛び交ってるはずなのでは?(笑)」
O「日本では「リアムを出せ!」というブーイングが飛び交った、2000年及び2002年の福岡公演(リアムが途中退場)のような雰囲気は全くなく、むしろ観客が熱狂しているのが目に浮かぶような名演です。
中盤のアコースティック・セッション時の「Stand By Me」での観客の大合唱といい、BHNツアーではこの時しか披露されていない楽曲「My Big Mouth」もあり、聴きどころが盛り沢山の演奏と言えます。
全オアシス・ファン必聴の隠れ名演の一つ、と言っても過言ではないでしょう。」
S「オアシスの歴史上、この日のみライブで披露された「The Girl In The Dirty Shirt」などなど、聴きどころ満載なのでは。
これを聴くために、この日のブートレグを買いましたね。
もちろんリアムがいた初日や、ノエルボーカルのStay Youngが繰り出される2日目も良いんですけどね。」
KO「「NOEL GETS TO THE POINT」は幻の一品だと思っていましたので、再発されたときは本当に歓喜でしたね。
それまで音の良い音源という意味では、海外製ブートのボーナストラックで断片的に聴くしかなかったわけですから。
荒々しいバンドサウンドに乗ったノエルヴォーカルが唯一無二の音源になっていて、ノエルのパンク魂が炸裂しております。
リードギターを取りながらも、ボーカルを取るワンマンっぷりもかっこいいです。
最近、アナログ盤としてもリリースされましたし、その直後?に僅かに分離の良くなったリマスターバージョンがネットに出回りました。
さらにBayswaterからも再発されており、いかに名演であるかが証明されているかのようです。」
S「これまた僕らの世代にとっては、ありがたい再発でしたよね。
やっと聴ける!と思って、飛びつきましたよね。」
KO「本当そう思うよ。 聴きたくて仕方なかった公演でしたからね。
あと98年の隠れた名演として、シカゴ公演。
こちらも極めて良好なサウンドボード音源があり、安定した演奏であるのにも関わらずブートレグとしては満足のいく形に残されていません。
大石さんに昔教えてもらうまでは全く聴いたことが無かったので、ちょっと勿体ないなと思っています。」
S「それ知らない! リリースはされているんですか?」
KO「いや、されてないと思いますよ。 だからこそもったいないよね。」
O「98年1月17日のシカゴ・ローズモント公演ですね。
FMラジオでの放送用音源(Pre-FM、つまり放送用マスター)が長年存在かつ流出(ただしフル音源ではない)してて、オーディエンスショットの映像も全編撮影されており、その二つを合わせたものがYouTubeにアップされてます。
「BHN」ツアー後期、来日公演の1ヵ月前にあたるライブですが、相当に好調な演奏で、貴重なのはアコースティック・セッションで「To Be Someone」を披露してること。
ただし(記憶にある限りでは)音源は一度もブートレグとして販売されたことのない、隠れた名演です。
映像はオーディエンスショットのVHS及びDVDが販売されてました。あまり知られてない一品かと。」
S「なるほど。 ちょっと気になるので、聴いてみます!」
KO「Pre-FMだったんですね。 だから安定した音質なわけだ。 あれはフル音源では無かったんですね。まとまっていたからフルだと思ってました。」
O「このシカゴ公演は全16曲のライブ中「It's Getting Better Man」「Champagne Supernova」の2曲が放送音源からはカットされてます。 何にせよ貴重な音源かと。
最近YouTubeに有志がリマスターした音源や映像が数多くアップされてるんですが、どれも個人レベルを超えた出来で素晴らしいです。
オーディエンスショットの映像にサウンドボード音源を組み合わせるのは昔からありましたが、最近はノイズ除去やピッチ修整等、本当に手が込んでます。」
S「YouTube、凄いなー(笑) あまりYouTubeを使って、音源漁りをしないので、今度色々聴いてみます!」
司会「昔はブートレグを買って聴くというのが当たり前だったのに、今は色々な聴き方があるんですね!
これから聴き始めるという人にとっては、いい時代になったものです!
皆様、今回もありがとうございました!
次回はStanding On The Shoulder Of Giants期ですね!
引き続きよろしくお願い致します!」
ALL「よろしくお願いします!」
----------------【今回のゲスト】-----------------
【大石】
幼少期からの映画バカで、その影響で英語を覚え、気付けば海外ドラマや映画の字幕翻訳家/映画関連の通訳及びインタビュー等も。小学6年生の頃にオアシスと出会い、中学生でブートレグと出会ってからは、特にライブ音源について徹底的に研究し続ける日々。
【小沢】
音楽好きの会社員。UKやモッズを偏愛するあまり、“Face The Crowd”,IN CROWD,◎Into Tomorrow◎,oasis mania tokyoなど数々のイベントを主宰。
【須賀】
オアシスのファンイベント"OASIS NIGHT NAGOYA"の主催者。
高校生の頃に名古屋でオアシスのライブを観て、感涙。
それからというもの、ブートレグの収集に熱を上げ、海外までギャラガー兄弟を追いかけている。
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